東日本大震災から1年半の今日、あらためて「あそびのちからはいのちのちから」について考える~郡山と石巻の地で感じたこと~

 3.11、東日本大震災から、今日で1年半ですね・・・。

  東北版 あそびのちからはいのちのちからの取り組み、第一弾として、9月5、6日に福島県郡山市宮城県石巻市で、現地調査、関係者打合せ、そして、親子ムーブメント教室の実践を行ってきました。

*****
 郡山では、一見、何もかもが普通のようで、何事も無かったかのように平穏に見える風景の中で、目に見えない放射能の影響で、子ども達の遊び環境が大きく変わってしまったことが解りました・・・。

 郡山市の室内あそび場「PEP Kids Koriyama」では、スタッフの方に、室内に郡山の風景が描かれていることを教えていただきました。砂場は、東北新幹線が到着する郡山駅のイメージ、街並みや田んぼの景色が壁に描かれていて、ボールプールも猪苗代湖のイメージでつくられていると知り、自然豊かな土地に生まれ育つはずの子ども達がのびのびと外で遊べなくなってしまった現状に、あらためて、言葉を失いました。

f:id:satsuki-lab:20220406203315j:plain

 関係者の方々から貴重なお話をお聞きすることができ、あらためて、今、自分にできることを真剣に問い直してみたいと思いました。
 
 郡山の子どもの支援に関わる方々や保護者を対象に、ムーブメント法を基にした研修の話があがりました。関係者の方々と丁寧に相談しながら、実現に向けて努力したいと思います。

*****
 石巻では、以前から卒業生が運営するCMDゆうゆうと協力して準備を進めてきた、親子ムーブメント教室を実施しました。
 プログラムの提供先になったのは、石巻子育て支援団体「NPO法人子育て支援ベビースマイル石巻」さんです。

 9月6日に実践した親子ムーブメントプログラム「ジャングル大冒険!」の様子は以下のブログをご参照ください。


 ★活動の企画・運営にあたりプログラムの提供先となった団体
   NPO法人子育て支援ベビースマイル石巻 のブログ

 パラシュートが頭上で広がった瞬間の子ども達の歓声と笑顔に、夢中になって写真を撮ってしまいました・・・。いのちのエネルギーがあふれる瞬間でした。

f:id:satsuki-lab:20220406203535j:plain f:id:satsuki-lab:20220406203553j:plain f:id:satsuki-lab:20220406203618j:plain

 今回の驚きは、ベビースマイルに参加するママさん達の「遊び力」の高さです。
 フリームーブメントの準備で遊具を広げた途端に、「あら、これ面白そう・・・」、「これは、どんな風に使えるのかしら・・・」って感じで楽しそうに遊具と出逢い、「勝手に」子ども達と遊んでくれていました。
 
 都会の子育て支援事業で単発の教室をやると、まず、壁ぎわに座っているお母さん方に「一緒に遊びましょう」と声をかけるところから始めなければならないこともありますが、そんな経験と比較すると、石巻のこのママさん達は、「よ~し、今日も遊ぶぜ!」って本気度がかなり高く、自然体で楽しんでいて、みなさん素敵な笑顔でした

 「ユランコの代わりに使えますよ」と家庭での活動につながるようなやり方をお伝えするために、バスタオルも用意したのですが、これも一度私がやっているのを見たら、振り返ったら、勝手にお母さん同士で始めていました!

f:id:satsuki-lab:20220406203720j:plain 

 そして、何も言わないのに、そり遊びも始まっていて・・・!!
f:id:satsuki-lab:20220406203733j:plain
 ベビースマイル石巻さん、ムーブメントは初体験!とのことでしたが、多分、これまでの活動が充実していて、一緒に遊んだ体験がたくさんあって、親子の遊び力、集団としての遊び力がかなりあるんだな~と思いました。ムーブメントの基本を身につけたら、活動はどんどん発展するだろうな~と感じました。

 活動後に代表の方とお話して、頂いた資料も読ませていただいて、あらためて、ベビースマイルさんのパワーと志の高さに感服しました・・・。共に繋がって、地域の生活を子ども達の未来を自分達でつくっているんだ・・・という意識を感じました。子育て中の身としては見習いたい「母達」の強さです

 午後は、被災地障がい者センターみやぎ の石巻支部の皆さんを訪問して、これまでの取り組みについて情報交換をしました。こちらの皆さんは、災害時においても、障がい者が犠牲になることがない、障がい者と健常者が共に生きていく街づくりを目指して、石巻の再生に取り組んでおられます。

 スタッフの皆さんからは被災直後の悲痛な体験もお聞きしました。その中で、何もない避難所で、子ども達と新聞紙を色々に使って遊び尽くしたという話は、とても印象に残りました。
 
 「あたりまえ」と思っていた生活が有り難いと痛感したからこそ、誰にとっても「あたりまえ」であるべきことを共有できる場の実現に目が向いているのだと感じました。

 今回の訪問で私が強く感じたのは、石巻の方々は、あの大震災によって多くのものを失ったけれど、そして、それは、私達の想像を超える悲惨な体験であっただろうけれど、失ったものを取り戻す、元に戻る・・・というより、震災によってあらためて気づいた大事なことについて、真剣に考え、新しく創造し、生まれ変わって共に育もうとしているのだろう・・・ということです。
 
 そんなことを感じながら、最後の訪問先、日和山鹿島神児神社に行きました。石巻の沿岸部が一望できます。
 広がる光景に、感じたのは、生きているのことの有り難さ・・・。「いのち」をいま背負っていることの重さ・・・。
 被災地支援・・・なんて掲げて、一体、自分に何ができるのか・・・、ふと頭が真っ白になったりもしました。

f:id:satsuki-lab:20220406203852j:plain

 高台から見える風景に合わせて、震災前の大きな写真が飾ってありました。同じ範囲になるようにその日の風景を撮ってみました。
 ボランティア活動を通して、早くから被災地入りして現地と連携し今回の企画の実現に大きく貢献してくれたCMDゆうゆうのスタッフ、卒業生つぐによると、直後の光景に比べれば、瓦礫で埋め尽くされていた場所が緑に変わっていて、全然違っているとのことでしたが、やはり、震災の跡はしっかり残っているのが解りました。

 

 これまでも感じてきたことですが、あらためて、「支援する側」「支援される側」という関係性によって成り立つ場ではなく、「共に生きるための場を共につくる」活動として、遊びの場を展開していきたいと思いました。

 東北版 あそびのちからはいのちのちから 

 決して、「支援」の押し売りではなく、届ける側も受け取る側も、お互い元気になるために、「一緒に遊ぼう!」、「遊びの場を一緒に創ろう!」と思って、気が合ってはじめて成り立つのだと思います。

 私にできることは小さなことですが、出逢って繋がったみなさんとのご縁を大切に、丁寧に取り組んでいこうと思います。
 
 あらためて、どうぞよろしくお願いいたします・・・。