現在取り組んでいる「遊びの場づくり」支援者研修(全5回)の3回目は、ムーブメント教育・療法独自のアセスメント法であるMEPA- Rについてです。
詳しい内容は、以下の記事をご確認ください
先月、乳児院でもこの内容の研修講座を実施しました。座学は苦手と言っていた職員の皆さんですが、すごく熱心に90分の講義を聞いてくださいました。
研修後の意見交換や後で提出してくださったふりかえりのコメントに、「経験不足による未発達をふせぐ」というMEPA-Rの効用にとても期待している、積極的に活用したい…という内容が共通してありました。
乳児院に長く過ごすお子さんは、養育者がどんなに愛情豊かに育んでも、どうしても、一般の家庭で育つお子さんに比べて、「経験不足による未発達」が目立つのだそうです。
例えば…、
「入浴」という日常の営みは、乳児院ではどうしても衛生面の確保を一番に、多くの子ども達を確実に清潔にするために流れ作業になってしまうのだそうで、裸の大人と一対一でゆっくりと湯船に浸かって遊んだり歌ったりする体験を得ることはありません。
それから、食事の場面でも、調理室と食堂が離れていて、ご飯が炊ける臭いやお湯が沸騰する音を知らずに成長していきます。
大勢の子ども達を連れて公園や散歩に出かけたり、地域の保育園との交流に力を入れたりして、社会との繋がりの中で得る経験も大事にしておられるそうですが、やはり、大勢の子ども達を連れて出かけられる場所は限られているため、
乳児院の子ども達は、家庭の子ども達のように、小さな頃から親が買い物するためにスーパーやコンビニに連れて来られる…という経験も不足します。
お店にならんだたくさんの商品の中から欲しいものを見つけてひっくり返ってだだをこねてみたり、買い物や貨幣の仕組みについて自然と理解したりすることができません。
このような具体的な事例を聞いて、なるほど…と、乳児院の現実にあらためて驚いたのが正直な感想ですが...、
それ以上に、乳児院の保育士さん達が、MEPA-Rというツールを手にしたことで、遊びの中で子ども達の経験不足による未発達をふせいでいけるということに、とても前向きになっていることが解り嬉しくなりました。
MEPAーRが生活に溶けこんだ身近な項目からできているアセスメントであること…、
チェック項目が同時に遊びの活動案になっていること…、
また、「できないところ」に目を向けてそこを補う…という考え方ではなく、「ストレングス(得意なこと・好きなこと・興味があること…)」に着目して活動をつくり全体的な発達を引き上げるという考え方に基づいていること…、
など、MEPA-R活用の要点を知り、生活を共にしている乳児院のスタッフだからこそ、より細かく子ども達の「ストレングス」の情報を把握できている!これらを活かさない手はない!と感じたそうです。
キラキラと目を輝かせて、すぐにその場で、あれやこれやと子ども達との遊びの案を考えている乳児院の職員の方々の顔を見ていると、ますます、「遊びがいっぱいの大きな家」になるといいな~と思います