多世代交流ムーブメント

 2013年7月2日、川崎市宮前区の「地域子育てセンターすがお」にて、多世代交流型のムーブメント活動によんでもらいました。

 もともと、この施設では、シルバー世代のボランティアとの交流が盛んだったところに、スタッフの保育士さんが麻生区和光大学の連携による研修事業でムーブメント教育について学び取り入れるようになったことがきっかけで、地域のおじいちゃんおばあちゃんがサブスタッフとして担い手となる形で行われる多世代交流型の子育て支援の遊び活動が展開するようになりました。

 施設スタッフ、シルバーのボランティアスタッフの皆さんが笑顔で迎えてくださり、スタッフミーティングを行いました。「血圧上がっちゃうわね~」とか「腰が悪いから注意してやります」とか、おしゃべりしながら一緒に準備してくださいました。そして、開始時刻になると通いなれた雰囲気の親子がどんどんやってきて、フリームーブメントが始まりました。おばあちゃんが赤ちゃんをあやしたり、おじいちゃんや下の子を抱いてくれている間にママがお兄ちゃんと思い切り遊んだり・・・、みんなで子育てに関わる姿・・・、つい最近まで当たり前だったことなのに、都会の子育ての場では見られない関係があちらこちらに自然に生まれていて、あたたかな空気に包まれていました。

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 集団活動のはじまりは、ダンスムーブメント、走行歩行ムーブメント、そして、お名前呼びと展開し、一本のロープをもってみんなで輪になり「とんとん、まえ~、とんとん、うえ~」とロープムーブメントの基本活動を楽しみました。 

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  設定ムーブメントは、「七夕」をテーマにしたサーキットプログラムを楽しみました。スペースマットやロープの道を歩いたり、フープやプレーバンドをまたいだりくぐったり、トランポリンやユランコで揺れの活動を楽しんだり・・・してプログラムを体験して、子どもたちが運んだビーンズバッグが2本のロープの間にたまっていって、「天の川」になっていくように設定しました。
  遊具の活用紹介も兼ねてちょっと盛りだくさん気味のプログラムではありましたが、スタッフの連携がよく、また、一人ひとりに合わせた個別の対応や肯定的なことばがけも自然に行われていて、助かりました。

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 天の川の風景ができて、彦星役のおじいさんと織り姫役のおばあさんがちょぴり照れて再会するシーンをみんなで喜んだら、お礼にパラシュートが出てきて、最後はパラシュートムーブメントを楽しみました。

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 活動後のふりかえりの時間、シルバーのボランティアスタッフさんからは、ロープを操作する細かい手の動きの活動は自分自身にとってもよい刺激になった、たくさん動いて爽快だった、役に立てるようにこれからもっと元気でいたい、赤ちゃんを抱くことができて嬉しかった・・・などの感想がありました。最も面白かったのは、普段の自由遊びの活動でもボランティアとして参加しているが、そのときは関わろうとしてもなかなかうまくいかずに関係づくりが難しいけれど、ムーブメントの場合は、遊具を持っていたり、活動の流れを共有したりするので、自然と子どもたちが自分たちに寄って来てくれるので嬉しい・・・という感想でした。ムーブメント教育による遊びの場は、様々な人と人との「共有体験」を促しているのだと再確認しました。

 最近では、高齢者のリハビリテーションや健康維持をねらった「シルバームーブメント」も各地で見られるようになりましたが、今回のような多世代交流の活動は、より元気なお年寄りが子育て支援の場の「担い手」になることで、生きがいや喜びを感じ、まさにムーブメント教育の目標である「健康と幸福感の達成」につながる活動になるでしょう。祖父母と離れて暮らす核家族がたくさんいる都会の子育て世代にとっては、子育ての知恵を受け継ぐ貴重な場にもなっていくかもしれません。