現在、サバティカルの研究活動の一環として、様々な現場で子どもに関わる支援者の方々に「ムーブメント法による遊びの場づくりの理論と実践」の研修プログラムを実施しています。
先週から、「遊具の活用」を中心とした実技を保育園、乳児院などで行いました。
遊具の使い方を沢山学ぶ気満々の先生方を前に、矛盾するようですが、「遊具はあくまでツールでしかない」ということを強調してお話させていただいています。
遊びの展開を促すために、遊具は大きな役割を持っていて、専門的に開発されたムーブメント遊具は、遊びの環境をつくりだす有効なツールであり、遊具との「かかわり」の中で、様々な遊びが生まれていきます。
けれど、遊具の活用の目的は、子ども(参加者)が自然と「動きたくなる環境」「触りたくなる環境」「かかわりたくなる環境」を創り出すことであって、遊具を使うことが活動の目的ではないのです。
リーダーとしてたくさん「お勉強」してしまうと、活動を押しつけてしまいがちになったり、たくさんの使い方を一度に試してみたくなったりします・・・
だから、私自身も毎回心に刻むつもりで、遊具の持つ様々な遊びの可能性を探求しながらも、「誰のために、何のために遊具を使うのか」という視点を常に見失わずに活動を展開することが大切です・・・とお伝えしています。
この遊具で何ができるだろうか・・・?
この遊具はどんな動きを引き出してくれるだろうか?
かかわる環境(他の遊具とのかかわり・音楽とのかかわり・他者とのかかわり・イメージとのかかわり・・・)を増やしてみるとどうだろう?
自分の身体以外の身体と遊具とのかかわりを想像してみよう。あの人の身体にはこの遊具はどんなふうに感じるのだろう・・・。
そんなことを考えながら遊具と戯れると、遊具の使い方を何通りも知ることができます。
「おぉ、そんな使い方があったか!」と活動中に子ども達に教えられることもありますよね・・・。
そして、もちろん、代表的なムーブメント遊具だけでなく、家庭にある身近なものも工夫次第で、遊びの環境づくりに役立つ遊具に変身します。
どんな分野でも「マニュアル」が求められることが多いのだと思いますし、そのニーズに応えることも大事と思います。だから、現場ですぐできる!明日から使える!という視点も大事に研修のプログラムを考案しています。
でも、やっぱり、「遊具の使い方」を知る前にもっと大事なことをお伝えしたいな~と思って・・・、結局、90分では足りなくなってしまいます・・・。
遊具に出逢ったときの現場の先生方のあの子どもみたいな笑顔を糧に、そして、その先生方と一緒に遊ぶ子ども達の姿を想像して・・・、精進いたしますぅ・・。